サムエル記下13章1~39節
ヤコブの手紙1章12~15節
説教 平和の共同体の心得「誘惑を耐え忍ぶ」

 私たちの暮らしの中には誘惑で満ちています。財力、権力、快楽などを求める欲望はその例ではないでしょうか。最近では北朝鮮で金正男さん異母兄弟の金正恩の指示で殺害されたらしいという報道がなされました。権力を維持するために殺害したのではないでしょうか。真相は闇に包まれたままになりそうです。
本日のサムエル記下の個所はダビデ王の子どもたちに生じた大きないざこざが描かれています。現代社会でも北朝鮮に起こったような殺害事件などと同質なことのようにも私には思います。アムノンというダビデの第一後継者の異母姉妹タマルへのレイプとタマルの実兄アブサロムによるアムノンの殺害です。ダビデ王家はレイプと殺害という悲惨な出来事を背負うことになります。そして、アブサロムは父ダビデとの権力争いによって命を落とすという結果になっていきます。なんとも悲惨なダビデの家族が描かれています。これがダビデがバト・シェバに性的欲望の誘惑に負け、バト・シェバを夫ウリアから奪い、夫ウリアを戦地で殺害させた、所有欲や支配欲に誘惑されたダビデへの天罰として描かれているようにも読めます。神の命令に従わなかった場合の生き地獄のように思います。わたしはとてもこんな暮らしは耐えられません。私がダビデの立場だったら(絶対そのような立場にはなることはないでしょうが)、鬱になって無気力になり、病院行きでしょう。王の座なんていう地位にはついていられないと思います。(しかし、ダビデはそういう生き地獄の中で王位が守られ、子のソロモンへと王位を継承していくことができます。これは神業としか思えません。)
さて、ダビデ王家の家族のような暮らしは避けたいものです。本日のヤコブの手紙には「人はそれぞれ、自分の欲望に引かれ、唆されて、誘惑に陥るのです。欲望ははらんで罪を生み、罪が熟して死を生みます(1:14~15)」とあります。そして、「試練に耐え忍ぶ人は幸いです(1:12)」ともあります。誘惑の試練を耐え忍ぶとは、財力、権力、快楽のような欲望の誘惑に対して、具体的な場面で聖霊が示してくれることを選んだり、神の言葉を選んでいくということでしょう。少なくとも自分が誘惑されていると思った時に神へ祈るという行為が必要だと思います。ダビデの息子アムノンやアブサロムたちは神への祈りや伺いをしていませんでした。ここに誘惑に陥った原因があるように思えてしかたありません。
試練に耐え忍ぶとは、いろいろな誘惑に見舞われるとき、まず、祈り、神に伺いを立てることだと思います。きっと誘惑から解放されると思います。これは私の体験からのお勧めです。
みなさまの祝福を祈ります。