聖書 ネヘミヤ記5章1~19節
   マタイによる福音書16章1~13節
説教 平和の共同体の心得「借金は帳消しにする」

本日の説教のタイトルをみて、母親は眉をひそめ、口を尖らせると思います。なぜならある人にお金を貸しているからです。そして、今度こそ返してもらうと、何としても返済してもらうと思っているからです。借金は返すのは筋ですが、世の中には、分かっているのですが、返せない人もいるようですね。 

聖書には、借金について帳消しにするよう書かれている箇所があります。本日のネヘミヤ記5章、マタイによる福音書16章にもあります。まず、ネヘミヤ記の方を見てみましょう。イスラエルの民の多くは貧しい人だったようです。さらに飢饉が襲い、人々は食うに食われず、家や土地、持ち物、子ども達さえをも、同胞の金持ちに抵当に出し、お金を借りていました。ペルシャ王国の税金の取り立てもあり、人々はもうどうにもならず、ネヘミヤに嘆き訴えました。それを聞いたネヘミアは同胞の金持ちたちに借金を帳消しにするように話し、自らも借金を帳消しにし、さらに12年の間ユダ地方の長官の給与はもらわずにいて、150人以上の人々と毎日超豪華な食卓を囲んだようです(ネヘミヤには巨万の財があったのでしょうね)。ルカによる福音書には、不正な管理人のたとえが記されています。金持ちの主人に不正を見つけられ、解任されることになった管理人は自分が生き抜くために、借金をしていた人たちから借金を大幅に減額した証書を偽造していきます。これは、仕事を失った後、借金を減額した人の家に住まわせてもらおうとしての管理人の策でした。この行為をこの金持ちの主人は利口やり方であると称賛するというたとえです。すごく意外なことが書かれていますよね。

これらの点から、借金を帳消しにしたり、減額することは、ある状況下では勧められることとなります。「命を守るなら借金を帳消しにするくらいなんでもないよ」という声が聞こえてきます。

神に対する罪を借金にたとえ、神の罪の赦しを借金を帳消しにしたということにたとえようにも思えますが・・・

みなさまの祝福を祈ります。