マタイ14章22節から32節
「安心しなさい」
聖書にはたくさんの奇跡が書かれています。今日の箇所もその奇跡の一つです。水の上を歩く、という、奇跡。今では宇宙にスペースシャトルで行くような時代ですから、水の上を歩く奇跡などというものは、あってもいいかと思う人がいるかもしれませんが、実際、不思議なことです。実際バシリスクというイグアナ科のとかげが、コスタリカとかエクアドルという南米にいて、水の上を走るのがNHKのテレビで放送されました。別名,キリストトカゲともいうのでだそうです。水の上を1秒間に20回くらい脚を回転させて、沈む前に次の一歩を出して、水を踏みつけて、そのときの衝撃と水の浮力を利用しているそうですが、それをみてびっくりしました。イエスはそんなに早く足を動かしたわけではないのでしょう。いずれにしても不思議なことです。
そういう不思議な奇跡が聖書を読んでみますと、起こるのですが、それは、決まって、人にとって、命に関わる危機的な状況のときに起こっているように思いますし、命に無関係には起こりません。これまでの奇跡を見てみますと、皮膚病やちゅうぶ、長血の女、口のきけない人、手の萎えた人等病人や障碍者の癒し、悪霊に取り付かれた人の癒し、5000人の人へのパンと魚の提供など、命に関わっているような状況での出来事だったと思います。
本日の奇跡は、舟での出来事です。弟子たちに船に乗せ、向こう岸へ先に行かせました。
すると、逆風が吹いて、進みませんでした。なかなか思いとおりには行かなかったのですね。そうしているうちにイエスは夜明けの頃、湖を歩いて弟子たちのところにいかれました。逆風に対して歩いていかれたので、髪は乱れ、服も風になびいて、歩いていたのでしょう。それを観た、弟子たちは、「幽霊だ」と言っておびえ、恐怖のあまり叫び声を上げました。それを聴いたイエスはすぐに彼らに話しかけられました。「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない。」そう話しました。それを聴いた弟子のペトロは答えました。「主よ、あなたでしたら、わたしに命令して、水の上を歩いてそちらに行かせてください」と語ります。ペトロは、自分もイエスと同じようにできると思ったのでしょう。イエスは「来なさい」と言いました。そこでペトロは舟から降りて水の上を歩き、イエスの方へ進んだ!
ペトロも歩いたのです!しかし、強い風に気がついて怖くなり、沈みかけてしまったのです。ペトロは「主よ、助けて下さい」と叫びました。イエスはすぐに手を伸ばして捕まえ、「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか」と言われました。そして、イエスとペトロが船に乗り込まれると、風はやみました。舟に乗っていた人たちは、みな、「本当にあなたは神の子です」と言ってイエスを拝みました。
この話は、イエスの一方的な救いを示しています。命の危機を救うイエスですが、それは、私たち人間の力、信仰では、難しいことを示しているようです。困難を乗り越えて下さるのはイエスの力であって、人の力ではない。
私たちの暮らしの中では、大丈夫だろうか、と不安に思うことがたくさんあります。自分の力、人の力、全人類の力ではどうにもできないように思う事柄に出会います。しかし、イエスはそれを平安のうちにしてくださる方です。どんな困難をも、克服して下さる方であるということを示して下さっているように思います。死は私たちにはどうにもできないように思える問題です。しかし、それをも、永遠の命を与えて下さっている、イエス。十字架によって罪まで赦してくださっているイエス。そのイエスが復活されて私たちといるのです。
最近、宇宙の研究が進み、光としてとらえて計算できるものは、2-5%しかないということがわかったらしいです。ですから、全宇宙の98-95%は人間には関知できないものでできているということになるそうです。最近、暗黒物質というのが理論上考えられて、ニュートリノとかいうのが発見されたらしいですけど、それをいれても、全宇宙の25パーセントしか説明できない。あとの75パーセントは何がなんだか分からない世界と考えた方がよいということらしいです。ですから、宇宙と私たちの暮らし場は同じようなものですから、宇宙の一部がここにあるわけですから、私たちの目で見たり聞いたり、体験したりする事柄というのは、以下に狭く、また、それ以外の事柄が起こりうるということでもあるかということを考える余地があると思うのです。ここに見たり聞いたりしていることは、実に2-5%のことでしかない。あとの98-95%は人間には分からないことであるというようにも考えることができると思います、もしかしたら、奇跡とか復活とか天国があるのが98-95%の世界かもしれません。イエスのおられる天なのかもしれません。夢や希望が実はそこにあるのかもしれません。今、私たちが苦しんでいて、もうだめだ、と思って失望しているとしたら、それは、2-3%の範囲のことであって、98-95%の私たちには理解できない世界、今、ここにある! 世界では、祝福と喜びにされていることかもしれないのです。
ことしもいろいろありましたが、みなさん、なんとか困難を乗り越えてきました。
来年もまたいろいろ困難なことがあるかもしれませんが、イエスはいつも私たちと共にいてくださり、「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない」と語りかけて下さり、私たちの恐れを、安心に変えて下さってくれるはずです。
「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない」この言葉を信じ、これからも、平安なくらしを続けていきましょう。