レビ記19章1-37節、 マタイによる福音書22章34-40節   
 平和の共同体の心得「復讐してはならない」   
 
キリスト教徒は世界中で今20億人とも言われています。宗教人口としては世界最大です。その他にもキリスト教ではないが、イエスキリストをファンのように思っている人たちもいれればその数はもっと多くなるでしょう。イスラム教もイエスを素晴らしい人だ見習えとおしているようですから、45億は超えるでしょう。また、さらにイエスを悪党という人はほとんどいないでしょう、ほとんどが良い人だと思っていると思いますから、そうなるとほぼ全人類がイエスを神あるいは偉大な人、いい人と受け入れているようにおもいます。私はこれを不思議な出来事だと思っています。なぜなら、人類は、イエスキリストを十字架につけたからです。イエスを十字架につけるとはイエスをいらない人として排除したということです。それが20億のキリスト教人口となり、ほぼ全人類に受け入れられるようになったからです。この世に巨大な集団になったキリスト教を含むイエスの支持者を考えると、神の逆転劇が起こったという証明だと思います。イエスは我々に復讐はしませんでした。だからでしょうか。キリスト者及びイエスの支持者はイエスのこの十字架含めその生涯を中心に伝道していきました。それは人の業というより、神がなした業としか思えません。日本の伝道が廃れているように思われがちですが、それは教会員の高齢化、少子化、減少の現象でありまして、決して、イエスの伝道が廃れたわけではありません。私はイエスキリストの素晴らしさを、信仰の喜びを、イエスの奇跡を、学び、知り、そして、伝えていくことをやめません。イエスキリストを排除したにも関わらず、イエスの支持者が拡大していっているもを見るように、信仰生活で楽しいのは、逆転が起こるということです。駄目だと思っていたことが、うまくいった。生きていく上での自分の欠点や弱さが生きてく上での恵みや強さにさえ変わった、そんな体験をすることがあります。これは救いの体験です。聖書にはこの神の救いの歴史が書かれている書です。また、現実が今こうしてあるのも神の救いの業の恩寵意外にあり得ないのかもしれません。この救いの奇跡体験を証しつつ、イエスキリストの素晴らしさを自分がさらに知り、他者に伝えることをしていきたいと思っています。

  聖書は救済史ともいわれています。人が太古の昔から神に救われてきた、抑圧されたり束縛されたりすり生から解放され、自由な人間とされる救いの歴史が書かれている書として読むことができます。本日のレビ記の箇所は「復讐してはならい。民の人々に恨みを抱いてはならない。自分自身を愛するように隣人を愛しなさい。わたしは主である。」という神の言葉が示されているところです。この言葉が与えられた理由は我々を救うためなのです。抑圧や束縛から解放され自由になるための処方箋なのです。ここの場合は復讐の連鎖を断ち、平和な世界を築くための処方箋であるように思います。本日のマタイによる福音書22章34節~40節主イエス・キリストは、「律法の中でどの掟が最も重要でしょうか」という問いにレビ記19章18節の「隣人を自分のように愛しなさい」を示しました。これには復讐するなということも含まれています。レビ記が書かれたのは3000年くらい前、イエス出現は2000年くらい前です。そのときにすでに「復讐するな、自分を隣人のように愛しなさい」という教えがあったとは驚きです。

 復讐しないとはとても難しいことです。しかし、復讐しないで、平和を実現した方々はこの世にでています。小さなリースという絵本の題材になったルーマニアの反共産党の下で起こった王の弾圧下、キャロル将軍によって両親を牢屋に入れられ殺された女の子が「敵を愛しなさい」という両親の教えを信じ、キャロル将軍に優しくしてあげようとして来る日も来る日も小さなリースを門の前においていたのでした。初めはキャロル将軍はこのリースを踏んづけていました。しかし、だんだんそのリースが気になり、ついに、自分の手で両親を殺してしまった女の子のことを知ります。そのときこのキャロル将軍は大泣きをし、自分はなんて悪いことをしたんだろうと罪を悔い改め、やさしい人間になろうと決心し、その国は平和になった、というお話です。ガンジーもキング牧師も復讐せず、平和や平等を実現しようとしていきました。そして、この私も職場でとても嫌がらせと思われることをする大嫌いな同僚がいて、死んでしまえばいいのにとさえちょくちょく思っていました(怖い私です)。しかし、「復讐してはならない」という、この聖書の言葉を思い、復讐せずに、じっと黙って、「愛することができるように」と、しかたなく祈っていました。そうしたら最近、私の仕事に協力してくれるようになったではありませんか!

「復讐してはならない」これは平和を築く処方箋であると改めて思っている次第です。

みなさまの祝福を祈ります。