聖書 列王記下4章1節~44節(旧約p581)
ルカによる福音書1章5~25節(新約p99)
説教 平和の共同体の心得「奇跡を信じる」
月本昭男という聖書学者は武器を放棄して平和を築くという思想は旧約聖書に散見している(イザヤ書2章4節、ミカ書4章3節、ホセア書2章20節、詩編46編10節、76篇4節など)と紹介しています。そして、「2500年以上も前に武器を放棄する思想があるのに今だ人類は武器にしがみついている。しかも、核兵器という恐ろしい武器をもってしまっている。せめて核兵器廃絶のために日本が先頭に立って世界を導いていく立場には十分にあると思うが、国連の核兵器禁止条約に日本は著名しなかった」と残念がっていました。いつになったら武器を放棄するのだろうかと嘆いてもいました。武器放棄による平和は奇跡が起こるしかないように思われます。
奇跡。この奇跡については、聖書は奇跡に満ちています。今日の列王記下4章にはエリシャの奇跡が5つ書かれています。預言者の夫を亡くした妻とその子ども2人の家族が借金を返せず困っている家族を救う奇跡、エリシャたちに親切にしてくれたうまずめの婦人に子を授けた奇跡、その子が大きくなって病気で突然死んでしまったときの蘇りの奇跡、飢饉の時の食料提供の奇跡、大麦パン20個と穀物を100人の人々に分け与えたら食べきれずに残ったという奇跡です。これらは命の維持や創造や復活に関わる奇跡です。
本日のルカ福音書にも洗礼者ヨハネ(イエスの親類)の妊娠の奇跡が描かれています。ヨハネの母エリザベトと夫のザカリアは老夫婦でした。エリザベトは「不妊の女」と聖書には書かれています。ここでも生命創造の奇跡が示されています。また、イエスは十字架と復活によって私たちが死んでも復活するという永遠の命を与えるとういう奇跡が聖書にしるされていることでもあります。
全世界的にみるならば武器によらない平和、抑止力によらない平和はこれまでなかったし、かつ、これからもないだろうと考える人が多いこの世です。しかし、聖書を読む限り、武器放棄による平和が全世界中に生じる奇跡を信じることができます。ここに、私は平和の共同体をつくる希望を見出すことができるのです。武器放棄による平和実現の奇跡を信じていきましょう。
みなさんの祝福を祈りします。