聖書 歴代誌下11章1~23節(旧約p684)
ルカによる福音書17章20~21節(新約p143)
説教 平和の共同体の心得「実は私たちの間にある神の国」
母親は89歳もうじき90歳になる超高齢者。膀胱癌にも罹患し、3か月に一度検査を受けていています。一人息子の独り者の私に食事を提供したり、洗濯をしたり、面倒をかけていて申し訳なくも思っていますが、彼女は朝起きると「あ~今日も生きていて幸せだ」と毎日思うそうです。超高齢者にみられる幸福感は最近知られるようになったとテレビで言っていたようでした。母親も御多分に漏れず、おそらく超高齢者の症状(?)なのでしょう。それから、幸福感を感じると言ってくれた方に障がい者施設入居者の50代の方がいらっしゃいます。施設で行う夏祭り、旅行、クリスマス会等行事にほとんど参加し、歌やオセロなど文化的活動を楽しんでいらっしゃる方です。また、「幸福」という言葉の概念も知らないような方で、元気に笑顔で迎えてくれる方もいらっしゃいます。その方の笑顔は間違いなく幸福だと思わざるを得ません。わたしはときどき、こういうのって神の国にいる人の感じることなのではないかと思ったりしています。
今日の聖書、歴代誌下11章には、ソロモンの息子レハブアムが、その叔父にあたるヤロブアム(謀反もの)の勢力に対し、武力で戦いをしかけようとしたとき、「登っていくな(争いはやめよ)」という神の言葉を受けて、戦いを回避したことが示されています。レハブアムは何をしたかというと、砦を築き、食糧を蓄え、盾や槍を備え、砦を強固にしました。祭司たちもエルサレムに集まり、礼拝を捧げるようになりました。レハブアムは敵の叔父のヤロブアムの娘を特に愛し妻に迎えたり、18人の妻と60人の側女を得て、28人の息子と60人の娘を設け、一族は幸いだったようです。この期間は3年で束の間の幸福状態ですが、その理由が「彼らが3年間ダビデとソロモンの道を歩んだからである(歴代誌下11章17節)」と聖書は記しています。歴代誌編集者はダビデとソロモンによってエルサレム神殿が完成され神の国が実現した(歴代誌上17章14節)という思想であったので、このような理由付けになったのだと思います。
さて、イエスはルカによる福音書で「実に、神の国はあなたがたの間にあるのだ」と言い切るのです。これは律法を厳守して神の国の到来を待つファリサイ派の人々に言っている言葉ですが、実にすでに今神の国はあるということを言ってのけたのです。
イエスが言っ言い切った、ファリサイ人の間、もちろん、我々人々の間にもすでにあるという「神の国」。これって何だろう?って思ったとき、人々がさりげなく、あ~幸せだな~と感じるときにいる世界なのかなあと思いました。また、その神の国は、本日の歴代誌に表されたように非戦状態で家族のような近しい者同士で受け入れ合う幸福感のようなものをももたらすのかなあと思ったりしました。そして、私たちの間にある「神の国」これに気づいていく暮らしって最高にいい暮らしなんじゃないかと思いました。
みなさまの祝福を祈ります。